以上となります。では、ここでちょっと、視点を変えてみましょうか?
今までの参加資格に関する説明は、あくまでも一般的な日本人を前提に話してきました。
それ以外の人たちは治験に参加できるのか、考えてみましょう。
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外国籍の方、ハーフやクオーターの方が参加できる治験は非常に少ないです。
日本で実施する治験は日本人向けに作られた薬剤を使うため、
体格や食生活の違う外国人ではなく、純日本人を参加対象に行っています。
※日本で行われる治験の多くは、日本国籍を持ち、
二親等以内に外国籍の方がいない日本人を対象とした試験が大半となっています。
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例えば、フェイズ2の治験、フェイズ3の治験は健康な男性でなく、
治験薬のターゲットとなる疾患を持った人を対象に行います。
では、その疾患を持った人が生活保護を受けている場合、
その方は治験を受けられるのでしょうか?
原則的には、NOです。 治験への参加は認められません。
健康な人に行なわれるフェイズ1でも一緒です。
参加者に支払われる負担軽減費が収入としてみられてしまうからです。
収入があれば、生活保護受給者は、受給額の減額や打ち切りにもなりかねません。
2012年以降、一部の生活保護受給者が参加できるようになりましたが、
対象者の範囲が限られているなど、未だにハードルは高いです。
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フェイズ1は必要ない事が多いです。
しかし、フェイズ2以降の試験に関しては、病気を持った人に保険診療で治験を行なうので、保険証が必要になります。
※フェイズ1でも、身分証明書代わりに保険証の提示を求められるケースもあります。
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治験はどのフェーズであっても一定の期間(休薬期間)をあけないと参加できません。
前の治験の影響が残っていれば、正確なデータ収集ができなかったり、
健康を損なったりする危険性があるからです。
治験ごとに休薬期間は異なるので、医療機関に確認して下さい。
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フェイズ1治験においては大半が男性のみの募集となっています。
女性には月経がありホルモンバランスの変動が激しいため、
正確なデータ収集が難しくなるからです。
ただし、治験によっては男女両方に募集がかかります。
また女性特有の疾患向けの治験もあります。
なお、フェイズ2以降の治験においては
特定の疾患を持っていれば男女の差無く募集がかかります。
※ただし、男性特有の病気などに関しては男性のみの募集になります。
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フェイズ1は、薬を服用中の方は参加できません。
薬を服用中の場合、体への作用が治験薬の影響なのか、
いままで服用していた薬の影響かを判断することが難しくなるからです。
風邪などの病気で薬剤を使用している場合、1~2週間の時間を空ければ参加が可能になります。
ただし、完治していないと受付はできません。
フェイズ2以降は、治験の内容や、参加者の病状、服薬状況によって変わります。
飲んでいる薬が治験のデータにそぐわない影響を与えると判断されれば、
参加を断られるか、飲んでいる薬を変更、中止をしていただく可能性があります。
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治験は自由意思のボランティア活動なので、治験中の辞退は可能です。
しかし、治験の途中辞退は医療機関や製薬メーカー、他のボランティアなどに多くの迷惑をかけることになります。
可能な限り途中辞退がないよう、治験参加前の段階でよく考えた上で治験参加の同意をするようにしてください。
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出来ません。重複の申込は禁止です。
同時に2つ以上の治験に参加すると、正確なデータが収集できなくなるからです。
あっちの薬と、こっちの薬がお互いに影響しあって、変なデータが出てしまいます。
複数の治験薬を身体に入れると、身体に悪影響が出る危険性もあります。
フェイズ1であっても、フェイズ3であっても関係ありません。
万が一、複数の参加申し込みが明らかになった場合、 治験はストップされ、
それ以降の治験にも参加できなくなる可能性が大きいです。ルールは守りましょう。
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フェイズ1、フェイズ2、フェイズ3に関係なく、
治験の内容、刺青の位置、大きさ、数によって、参加できない場合もあります。
貼り薬など、皮膚の状態を確かめる治験では原則として参加できません。
胸部や背中、採血箇所に刺青がある場合も参加が難しいです。
黙ったまま後になってから発覚すると、治験がストップしてしまう可能性もあります。
以上、治験に参加できる人、出来ない人の説明でした。