お薬ができるまで

では実際、薬ができるまでにはどのようなプロセスがあるのでしょうか?

基礎研究 2~3年 自然界の中から、未知の物質や、
治療に効果のありそうな物質を探します。
5~50億円
非臨床試験 3~5年 基礎研究で見つかった物質の効果、安全性などを、
動物を使って研究します。
20~100億円
臨床試験(治験) 3~7年 フェイズ1 主に健康な成人男性に投与する試験です。
体内での吸収・代謝・排泄を調べます。
フェイズ2 少数の患者さんを対象に効果・安全性を調べる
テストです。
最も効果的な用法・用量を調べます
20~100億円 フェイズ3 実際の治療に近い方法で、大勢の患者さんを対象に 薬の効果と安全性を調べます。
同じ効果のある市販の薬や、プラセボ(偽薬)の比較試験も行います。
厚生労働省での承認審査 2~3年 以上の結果をもとに、
厚生労働省の中央薬事審議会で審査します
5~20億円
発売 - 新薬の誕生です。
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製造販売後臨床試験 - フェイズ4 市販された後も、試験や調査をします。治験の時に得られなかった 情報(有効性や安全性)、新たな治療法、副作用に関する情報を収集します。
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製造販売後調査 6年  
30~50億円

以上のようなプロセスを踏みます。その中の一部に治験があります。
今まで治験に参加した経験のある人、あるいは今から参加する予定の人は、自分の参加する治験が
いったいどの場所にあたるのか、調べてみましょう。

ちなみに販売された薬は、販売後も安全性の試験や調査があります。 ドラッグストアで売っていた薬が店から消えてしまったとすれば、販売後の調査や試験で販売停止とされたからかもしれません。

治験参加の流れ

それでは大まかなプロセスの流れを見てみましょう。

1.治験の依頼

製薬会社が、治験実施施設(病院など)に依頼をします。
製薬会社は、自分の所で作った薬を世に出すために、
治験をしなければいけません。


2.治験審査委員会(IRB)での審査

医師や薬剤師、弁護士、学者、一般人などのメンバーで
審査委員会を実施施設内(病院内など)に作り、治験の妥当性、
人権や安全保護、および科学性などに問題がないかを調べます。
この審査がなければ、治験は始められません。


3.治験実施に関する契約

院内などに組織した審査委員会でOKが出たら、
製薬会社と治験実施施設(病院など)が改めて契約を交わします。


4.治験参加ボランティアの募集

治験実施施設(病院など)は、
治験に参加してくれるボランティアを募集します。
自分達で募集するケースもあれば、治験施設の支援機関(SMO)に
募集の協力をお願いする場合もあります。協力を依頼された支援機関は、
民間の紹介会社などを使って、ボランティアを募集します。
フェイズ1、フェイズ2、フェイズ3は、実施するタイミングが全く違うので、
治験のたびにボランティアを集めます。


5.スタートアップミーティング

治験を担当する医師と治験コーディネーター(CRC)、治験を手伝う看護師、
製薬会社などの間でミーティングが行なわれます。


6.治験の開始

治験実施施設(病院など)でスタートします。


7.インフォームドコンセント

医師や治験コーディネーター(CRC)が、
治験の参加ボランティアに内容の説明をします。参加者の同意を得たうえで、
スタートします。


8.健診・検査

スケジュールに沿って、参加者に対し健康診断、各種の検査を行います。


9.治験薬の投薬

事前の健康診断、各種の検査に問題がなければ、治験薬の投与を行います。


10.治験薬の投薬

治験が正しく行なわれているか、製薬会社がチェックします。


11.症例報告書の作成・提出

治験を担当する医師が報告書を書き、製薬会社に出します。


12.モニタリング:監査の実施

製薬会社は、治験の実施状況をモニタリングし、医師から提出された報告書をチェックします。


13.治験終了

治験の責任医師は、治験終了報告書を治験審査委員会へ提出します。


14.フェイズ2、フェイズ3へ治験が進む

時期をずらして、フェイズ2、フェイズ3の治験を行ないます。